3次元測定を開発に生かし、顧客の評価を高める
寸法精度への厳しい要求に金型開発で対応する
フィルムコンデンサはアルミなどを使った膜で、巻くためのコア部分には円筒形状のプラスチックの芯を使います。射出成形では端と中央部の太さに違いが生じることがあります。寸法精度の要求は厳しく旋盤による後加工で対応していました。
補助金については取引先や福岡県中小企業団体中央会から聞いて、存在自体は知っていました。今回の申請では、福岡県機械電子研究所の助言を頂きながら書類の作成に臨みました。書類作成には戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)に選定された経験が生きたと思います。

3次元測定の客観性を取り入れた開発
円筒形に太さの違いが出るのはプラスチックが型に流し込まれた後に冷えて固まる速さに関係します。そこでプラスチックの流れ込み方と金型を冷やす仕組みを工夫しました。
太さの違いは金型の中央部と端部の内部温度に差ができ、金型が均等に冷えないことが一因でした。それに対して取り組んだのが、プラスチックの収縮度を考慮した金型寸法の修正と金型を冷却するための配管の工夫です。
また加工精度を高め、その精度を裏付けるため導入したのが3次元測定機です。

課題を解決して製品への信頼性増し、顧客の評価を得る
金型を改良し、巻き取りコア部品の成型試作を繰り返しながら、金型寸法や成型条件の改善に取り組みました。その結果、コア部分へのフィルム巻き取り時のしわがなくなりました。
導入した3次元測定器は測るだけでなく画像で見ることもできる機種を選びました。型を測るとともに、その型で作った物にも使っています。画像は特に端の部分のチェックに活かしています。
3次元測定器は、所有する機関などに借りることも可能でしたが、すぐに使えるようにするためには自社で導入するのが最善でした。測定器で測ったデータを納入先に出すことで製品への信頼性が増しています。

測定器の活用を広げ、受注拡大目指す
3次元測定器をどのように使いましたか?
まずは従来の金型を使ったコア部分を3次元測定器で測りました。すると図面寸法に対し、円筒形状の部品中央部の直径が細くなっていました。さらに旋盤加工後も測定し、開発に活かすことができました。
今後、3次元測定器をどのように活かしていきたいですか?
測れる物は今回取り組んだ金型などに限りませんので、更なる応用を検討しています。
今後の抱負を聞かせてください。
製品に対するユーザーの評価は高まっており、5年後には1000万円の受注増を目指したいと思います。

ここがポイント
- 3次元測定と既存技術の相乗効果
- 従来の加工工程ごとに測定を実施することで課題を客観的に分析して開発に取り組むことができました。開発で射出金型成型の流動解析や金型冷却配管の設計を駆使できたのは長年蓄積した高い技術を持っていたからこそです。

会社概要
- 代表者
- 代表取締役社長 柴田 亜希子
- 所在地
- 〒838-1506
福岡県朝倉市 杷木林田807-1
- TEL
- 0946-63-3395
- FAX
- 0946-62-0821
- 業種
- プラスチック金型設計・製作、精密部品加工、精密カスタムプレート製造
- 資本金
- 1000万円
- 設立
- 1980年7月
- 社員数
- 58人
