伝統的な工法の再現で個性のある日本酒造りへ
日本酒を取り巻く消費環境変化への対応
1875年に創業し、主に「レギュラー酒」と呼ばれる日常で親しまれる酒の生産で伝統を守り続けてきました。一方、食文化の多様化によってワインやリキュールなども広まり、日本酒の消費を取り巻く環境は刻々と変化しています。
そんな中で蒲池輝行社長には長年「高品質でバラエティーに富んだお酒を」との思いがありました。酒造会社としての個性を伸ばし、消費者の支持を得るために取りかかったのが製造工程の見直しでした。

大量生産から多品種少量への転換に向けた圧搾機の導入
日本酒を造る際、酒母や
以前は大型で大量生産に適したものだったため、多品種少量生産への対応が難しい状況でした。新たな圧搾機の導入には、「酒袋」や「酒槽」を使った昔ながらの伝統的な搾り方に近づけ、付加価値の高い製品を作る狙いがありました。

大手酒造会社にまねできない多様な日本酒を商品化
「バラエティーに富んだお酒を」という蒲池輝行社長の長年の思いは、導入によって商品の幅の広がりにつながりました。大型の圧搾機では一気に圧力をかけて搾るため、どうしても味が均質となってしまいます。新たな圧搾機では小型である特徴を生かし、じっくり手間をかけることで「粗走り」「中垂れ」「責め」と香りや味わいが異なる三つのタイプの商品化が可能になりました。加えて、ろ布(フィルター)の着脱や洗浄に手間がかかるといった以前からの課題を解決する効果も生んでいます。
結果として、2018年の第7回福岡県酒類鑑評会では出品した5商品が金賞を取るなど、大手酒造会社には難しい多品種少量の商品で個性を発揮しています。

酒造り全体の工程を見直す契機に
補助事業の申請はほぼ自力で進めたそうですね。
業界では当たり前でも一般的にはなじみのない言葉は多くあります。どこまで表現すれば伝わるのかと悩みましたが、通常の業務の合間を見て約1カ月かけて作成しました。
新たな圧搾機の導入によって現場全体での変化はありますか。
酒造りに対する社員の意識が変わったと感じています。手間をかけてより品質を求めるようになった分、各工程の最適化を考え、検証するようになりました。
さらに品質を高めるため、どんな点に力を入れていきますか。
鮮度を保つために圧搾後の瓶詰めはすぐに行っています。今後は

ここがポイント
- 時代に合わせていく過程で伝統的な酒造りの工法を再現
- 時代によって最適な製造環境は常に変化していきます。灘や伏見などの有名な産地とどう差別化していくかと考えていく上で、あらためて製造工程を見直したことが機械設備による伝統的な工法を再現する契機になりました。

会社概要
- 代表者
- 代表取締役社長 蒲池 輝行
- 所在地
- 〒830-0105
福岡県久留米市 三潴町草場545
- TEL
- 0942-64-3101
- FAX
- 0942-64-2929
- 業種
- 日本酒製造
- 資本金
- 1600万円
- 創業
- 1875年10月
- 社員数
- 9人
