リードタイム短縮による顧客ニーズの反映と新製品の開発

従来の業界慣習からの脱却

博多人形や三味線など伝統工芸品用の桐箱作りをルーツにしています。桐は軽く柔らかいため衝撃から中身を守り、防虫や防水性といった保管に適した機能を持っています。贈り物の箱として喜ばれ重宝される存在です。
ただ、桐箱業界は仕様書を守ればいいという受注待ちの慣習が色濃く残ります。一方で顧客は商品の差別化を望んでいました。現在はギフト需要が減少し、紙や樹脂系の安価なパッケージも台頭しています。新製品開発と生産性向上への対応が必要であることが背景にありました。

生産性と安全性の向上

木材の切断にはランニングソーという機械を使います。それまで持っていた機械は小型サイズに不向きで、決まったサイズの定寸切断に特化していました。そこで小回りの利く新型機械の導入を決めました。
新型のランニングソーで従業員の安全性が向上しました。従来、手作業による丸のこを用いた切断作業は危険を伴っていました。しかし、導入設備は小型サイズまで自動で切断できます。人は材料の挿入と取り出しだけで済むようになりました。

作業時間短縮と省人化へ

タッチパネルによるデータ入力によって、作業の簡素化につながりました。従来は1工程につき5人で75分かかっていました。丸のこを使った補正作業を削減できたため、現在は2人で20分までリードタイムを短縮できています。
高い生産性を実現したためデザイナーとの協業による新商品開発にもつながりました。代表的な製品が桐を使った米びつです。今では年間1000個を売り上げるヒット商品に成長しました。新商品の事業はライバルが少なく、コスト競争に巻き込まれにくい利点があります。
米びつなどオリジナル商品によって販路を拡大できました。情報発信による既存の桐箱への理解も深まり相乗効果が生まれました。

海外にも販路広がる

設備導入の効果は?

小さな部材をカットでき、リードタイムを短縮できました。父の日や母の日など繁忙期でも納期通り製造できます。別注製品にも対応可能となりました。

申請書作成で工夫した点は?

なぜ導入してどういった効果が見込めるかという動機付けの部分を事前に練りました。

海外展開について教えてください。

米国やシンガポールなど7カ国に輸出しています。今後は各国の生活になじんだ商品を日本の技術で作れないかと構想しています。


ここがポイント

従来の桐箱の高付加価値化にも貢献
新製品開発で自発的に情報発信するようになりました。その際に桐箱の製造にルーツを持つことや素材の特性も説明します。こだわりを持った製品作りをP Rでき、パッケージ自体への理解促進につながりました。

会社概要

株式会社増田桐箱店
代表者
代表取締役社長 藤井 博文
所在地
〒811-3133
福岡県古賀市 青柳町100-1
TEL
092-942-3061
FAX
092-944-1221
URL
http://www.kiribako.jp/
業種
桐箱の製造販売
資本金
2600万円
設立
1966年9月
社員数
57人