他社との差別化、競争力強化につながる生産体制の見直し

形鋼の支給から製作へ転換

当社の事業は精密板金加工部品の製造です。設計から機械加工、組み立てまで一貫した体制を社内で構築しています。エレベーターのような昇降機部品関連では九州で高いシェアを得ています。
当初、業務用空調機の仕事を受注する際は加工済みの形鋼を発注先から支給される形式でした。社内でアングルの加工を手がけたいと思いましたが、既存の保有機械では段取りに時間がかかります。穴開けと切断工程が別で品質を担保できない問題もありました。

新型設備の導入による加工時間の削減

既存の条鋼加工機(アイアンワーカー)に追加する形で、アマダ製の高精度条鋼加工機(CNCビームワーカー)を導入しました。現場の従業員がビームワーカーの存在を知っていて「ぜひ導入してほしい」という声が挙がっていました。金型交換が容易で、穴開けと切断工程を1台だけで作業できる特徴があります。
2台の条鋼加工機を横並びにしてフレームを6個試作しました。CNCビームワーカーは金型を複数設置でき、径が異なる穴を複数開けることができます。穴の種類が多い場合に、横に設置したアイアンワーカーを補助的に用いる方法を試しました。

生産性と加工精度に大きな変化

形鋼の製作自体は既存の条鋼加工機でも可能でした。一方、新型のビームワーカーの導入によって、作業時間の短縮と品質向上につながりました。
新しい段取りと従来設備のみを使用した段取り工程の時間を比較しました。新段取り工程は9分で、従来の17分に比べ8分短縮できました。約半分の時間ですから生産性の意味で大きなアドバンテージを持ちました。
品質向上にも貢献しました。目標設定していた加工精度プラスマイナス0.3ミリメートル、組み立て精度プラスマイナス0.5ミリメートルの寸法精度を両方とも大幅にクリアできました。 結果として短納期と低コストを実現でき、他社との差別化や競争力強化となりました。

五輪関係の建設需要に対応

設備導入のメリットは?

板金加工の会社でビームワーカーを持っている企業は多くありません。形鋼の加工からフレームに板をつけるまで一貫して製造できる強みがあります。両方できることでお客さまのニーズを製品に反映しやすいです。

設備導入のきっかけは?

現場の声が発端となった導入です。弊社は板金加工がメインなので、形鋼用機械の購入提案が採用されたことが現場サイドはうれしいと思います。コミュニケーションの意欲が高まりますし、以前より改善提案を積極的に出してくれるようになりました。

空調機以外にも応用していますか?

昇降機部品の加工に生かしています。エレベーターのレールに付ける金具部品を製造していて、メンテナンスや五輪関係の建設需要を背景に多くご注文をいただいています。本来の空調機でも国の省エネ方針に応えられます。


ここがポイント

現場作業員の負担軽減にも貢献
生産性向上による短納期と加工精度の品質アップを実現できました。形鋼は重量のある製品で、工程が別々の場合、1工程ごとに運ぶのは重労働でした。ビームワーカーで工程を統合することで、現場作業員の負担も軽減されました。

会社概要

ナサ工業株式会社
代表者
代表取締役 長澤 貢多
所在地
〒811-2115
福岡県糟屋郡須恵町 大字佐谷1323-1
TEL
092-932-1126
FAX
092-932-5056
URL
http://www.nasakogyo.co.jp/
業種
医療機械装置向け精密板金部品の製造など
資本金
1500万円
設立
1974年10月
社員数
97人